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サンゴ再生事業

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電気防食を利用したサンゴの増殖・有性生殖の取組み

サンゴ礁は自然の防波堤作用、環境資源の提供だけでなく、共生藻の光合成などにより大気中の二酸化炭素を固定化し、炭酸カルシウムを主体とする骨格を海中に保持しています。そのため、サンゴを保全・増殖させることは地球温暖化の抑制に対して効果があります。

しかし1998年以降、地球温暖化による海水温上昇などを背景としたサンゴの白化現象が沖縄近海をはじめ世界各地で顕著となり、深刻な環境問題となっています。 そこで、当社では、電気防食を適用した浮桟橋に流れる微弱電流によって活発に生育するサンゴの生態に注目し、平成17年より、エム・エムブリッジ(株)、(株)シーピーファーム、(独)東京大学の4者、平成19年より阿嘉島臨海研究所を加えた5者共同で、微弱電流を利用したサンゴの移植・増殖技術の確立を目指しています。

サンゴの増殖

サンゴ礁の保全・再生を確実に推進するため、電着基盤材と電気防食時の微弱電流を利用して効率的にサンゴを増殖させる技術開発を行ない、現在は実用化を目指し取り組んでおります。また、(社)土木学会主催の第15回、17回地球環境シンポジウムにて地球環境技術賞を受賞しました。

17回地球環境シンポジウム サンゴ増殖用電着基盤の構築 (1033 ダウンロード)
サンゴ増殖棚イメージ図
サンゴ増殖棚イメージ図

電着層形成の原理

電着層は、電気防食によって鋼材表面に微弱電流が流れると、式(1)、(2)に示すようにアルカリ成分OHが鋼材表面に生じます。生じたアルカリ成分OHが海水中に溶解していたカルシウムイオンCa2やマグネシウムイオンMg2と反応して式(5)、(6)に示すように析出・付着します。

陰極反応によるアルカリ成分の生成

酸素還元反応:O2+2H2O+4e → 4OH(アルカリ成分)  (1)
水素発生反応:2H2O+2e → H2+2OH(アルカリ成分)  (2)

アルカリ成分による電着層(CaCO3およびMg(OH)2)の生成反応

海水中に溶解した二酸化炭素:CO2+H2O → HCO3+H  (3)
海水中のカルシウムはpH8.2でイオンとして溶けている:
CaCO3 + H ⇔ Ca2++HCO3  (4)

アルカリ成分によってpHが高くなるとカルシウムイオンが炭酸カルシウムCaCO3として析出・付着する

Ca2++HCO3+ OH → CaCO3 + H2O  (5)

マグネシウムイオンもアルカリ成分と反応して析出・付着する

Mg2+ +2OH → Mg(OH)2  (6)

試験中のサンゴ棚
試験中のサンゴ棚

この原理を利用して、サンゴ幼生の着床に好ましいサンゴ増殖基盤を形成する事ができます。
この電着層は、サンゴの骨格とほぼ同じで、サンゴ幼生の着床及び骨格の形成に寄与しているものと考えられています。


電着基板での成長結果

試験結果より、素焼タイルより電着基板のほうがサンゴの着床数が多く、成長が早い。
サンゴの着床数は、電着基板の電流密度を50mA/㎡程度にしたものが最も多い。

実海域での成長結果

電着層の形成およびその後の微弱電流は、電気防食用の流電陽極の電流をコントロールして流します。

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